「身近で発生するリスクがあると感じる災害はどれですか」という設問に答えてもらったところ、「地震」が約9割でトップでした。また、6割以上が「台風・暴風雨」、4割以上が「火災」、3割以上が「河川の氾濫」と回答しました(図1)。
地方別に見ても、全国で「地震」が1位となり、続いて、北海道では「大雪・雪崩」、北海道以外の地方では「台風・暴風雨」が2位になりました。さらに、全国で「河川の氾濫」「火災」が上位5位に入りました(図2)。
「水害や地震災害で避難所に避難する際、不安なことは何ですか」という問いには、7割以上の人が「暑さ・寒さ」、「感染症のリスク」を挙げ、「トイレなどの整備状況」「清潔さ」「物資(日用品等)不足」「食料不足」「プライバシーの確保」についても6割以上の人が不安を感じていることが分かりました(図3)。
※選択肢:感染症のリスク/食中毒/食料不足/物資(日用品等)不足/電源不足/暑さ・寒さ/清潔さ/居住空間の広さ/臭い/生活音/眠れる環境/トイレなどの整備状況/エコノミー症候群/プライバシーの確保/子供の集団生活/ペットの扱い/自宅の空き巣被害/特にない/その他
監修者のコメント
①暑さ寒さ対策について
大きな災害が起きたら、ライフラインが断絶するため暑さ寒さに対する備えがないと熱中症や低体温症になります。特にこれからの季節は、雨に濡れても体温が奪われて低体温になりかねません。そんな時に知っておいて欲しいのが、新聞紙での保温です。手首、足首、腰、首にくしゃくしゃにした新聞を巻くだけで温かくなります。さらに、アルミでできたレスキューシートをかぶればさらに体温保持ができます。濡れたらすぐに体を拭くためには手ぬぐいやタオルなどが必須。しかし私はペットシーツで体も髪も拭きます。その方が早く吸収するからです。
②災害トイレの準備について
トイレの不安があるにもかかわらず、災害トイレの準備ができている方はあまりいません。これは在宅でも避難所でも必要なアイテムです。避難所のトイレも意外に使えなくなることが多いのです。仮設トイレの設置は時間がかかるため、それまでは持参した災害トイレで賄うことになります。購入しても触ったことも、使ったこともない方が多いので、一度は使ってみましょう。いきなり使うと失敗することが多い上に、洗い流す水もないので気をつけてください。
続いて、「気候変動は、進行していると感じますか」と尋ねたところ、「とても感じる」と回答した人が7割を占め、「感じる」と回答した人と合わせると、ほとんどの人が気候変動の進行を感じていることが分かりました(図4)。
また、「直近1年で水害に対する備えを強化しましたか」と尋ねたところ、約1割の人が強化をしていることが分かりました(図5)。
直近1年で水害への備えを強化した79人に、そのきっかけを尋ねたところ、「豪雨の増加」が約8割と最も多い結果となりました。また、「洪水・氾濫の増加」「台風の増加」と答えた人も6割以上いました(図6)。
さらに、直近1年で水害への備えを強化した79人に、強化した点を尋ねたところ、8割以上が「食料・水の備蓄」と回答。また、6割以上の人が「ハザードマップの確認」、5割以上の人が「防災グッズ・非常用持出袋の準備」「懐中電灯の購入」「電池・モバイルバッテリーの購入」を挙げました(図7)。
「5年以内に大きな地震で自分自身が被災する可能性があると思いますか」と尋ねたところ、6割近くの人が「ややそう思う」と回答。「とてもそう思う」と回答した人と合わせると、8割以上の人が5年以内に大地震で被災するリスクを感じていることが分かりました(図8)。
地方別では、「とてもそう思う」と答えた人の割合が最も多かったのは「中部」で、3割以上が回答。続いて、「関東」、「東北」の順に多くなりました。また、「とてもそう思う」と「ややそう思う」を合わせると、5年以内に被災する可能性を感じている人の割合は「関東」が最も高くなり、9割近くにのぼりました(図9)。
「地震が起きたときに備え、居住地域のハザードマップを確認していますか」と尋ねたところ、全体の7割超が「はい」と回答しました。さらに、過去に震度5強以上の地震を経験したことがある人の78.1%がハザードマップを確認しており、震度5強以上の地震を経験していない人と比較して、7ポイント高いことが分かりました(図10)。
また、「どのくらいの強さの地震が来た場合に身を守る行動を取ると思うか」という問いでは、最も多かった回答が「震度5弱」でした(図11)。
監修者のコメント
震度5の揺れは、立っているのも難しくなります。物が落ちたり、移動したりするため、テーブルなどの下で身を守る行動をしてください。部屋の中をぐるっと見回して危ないと思うものを意識しておく。そこからどこに逃げるのかを決めておく。何もない時にしておくことが、いざという時の行動につながります。災害時も日常にしていることしかできないものです。だからこそ何もない時に決める、一度やってみることをお勧めします。
さらに、「自宅が地震災害に遭った場合、心配なことは何ですか」という問いには、「家族の安全」「建物の損壊・倒壊」に次いで、約8割の人が「電気・ガス・水道などのライフラインの停止」について不安を感じていることが分かりました(図12)。
また、「電気・ガス・水道などのライフラインの停止」と回答した651人に、ライフラインの停止を想定してどんな備えをしているか尋ねたところ、「何もしていない」と答えた人は1割未満で、約9割が何らかの備えをしていることが分かりました。備えとして最も多いのは、7割以上の人が回答した「食料・水の備蓄」。次いで、6割以上の人が「懐中電灯の購入」、5割以上の人が「電池・モバイルバッテリーの購入」と答えました(図13)。
監修者のコメント
③灯りは一人一灯、一部屋一灯
灯りは懐中電灯一本では全く足りません。ブラックアウトすると本当に真っ暗でトイレに行くことすら不安を感じます。また懐中電灯では部屋は明るくならないのです。一人一灯、一部屋一灯必須です。ヘッドライトやネックライトを準備してください。
「現在のお住まいの耐震性能に不安はありますか」という設問に答えてもらったところ、「やや不安」と回答した人が約4割を占め、「非常に不安」と回答した人と合わせて、7割近くが耐震性能に不安を感じていることが明らかになりました。また、震度5強以上の地震を経験していない人の方が、経験している人に比べて「非常に不安」と答えた割合が約6ポイント高くなりました(図14)。
また、「今後家を購入するとしたら、家に求める要件(間取り、設備・仕様、性能など)の中で、地震に対する強さをどのくらい重視しますか」と尋ねたところ、「かなり重視したい」と答えた人が約6割と最も多く、続いて多かったのは3割を占めた「最も重視したい」でした。「全く重視しない」と答えた人は一人もおらず、ほとんどの人が地震に対する強さを住まいに求めたいと考えていることが分かりました(図15)。
さらに「地震対策のために家を補強するとしたらどのくらいお金をかけても良いと思いますか」と尋ねたところ、全体で最も多かったのは「50万円未満」でしたが、震度5強以上の経験者では、「100~199万円」と回答した人が最多でした。震度5強以上の地震を経験していない人と比較して、100万円以上かけても良いと考える割合が約9ポイント高い結果となりました(図16)。
調査手法:オンラインアンケート
調査期間:2022年7月30日(土)~8月5日(金)
調査対象:全国の男女
有効回答数:834サンプル
回答者:男性279名、女性555名(10代以下1名、20代101名、30代367名、40代178名、50代121名、60代57名、70代以上9名/戸建住宅319名、集合住宅492名、その他23名/北海道40名、東北59名、関東284名、中部140名、近畿142名、中国・四国82名、九州・沖縄87名)
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100にならない場合があります。
今回の調査では、地震や水害のリスクを身近に感じている人が多いこと、また多くの人が現在のお住まいの耐震性能に不安を感じ、ほとんどの人が今後家を購入するとしたら、地震に対する強さを重視したいと考えていることが明らかになりました。一条工務店では、震災や水災、風災など襲いくる自然災害の脅威にただ耐えるだけでなく、その後も“災害を免れたかのように暮らせる”「総合免災住宅」を実現しています。
建物が無事でも、巨大地震により様々な損傷を受けると、それが災害後の生活復旧の遅れや大きな経済的負担に繋がる可能性があります。一条工務店の住まいは、建築基準法の2倍の強さを実現。「建物が倒れないこと」だけに満足することなく、構造躯体はもちろん室内の仕上げ材にいたるまで、損傷をいかに小さくするかを追求しました。
家全体を強くするためには、より緻密な構造計算が必要となります。「2倍耐震」という、これまでにない強さを確保するため、高度な計算を一邸一邸行っています。また、数々の実大実験で得られたデータや情報をもとに、強度のある内壁と外壁をバランス良く配置することで、「2倍耐震」の強さを実現しました。
一般的な仕様の住宅において、床下・床上浸水すると考えられる箇所は複数存在します。当社はこれらを危険ポイントと定め、「浸水」「逆流」「水没」「浮力」の4つに分類。建物本体だけでなくサッシ等の開口部の水密性の向上、水の浸入・逆流を防ぐ特殊弁の採用などの対策を施しました(図中1~5)。また、外部の電気設備は、その本体や稼働に関わる部品を水没から免れる高さに設置することで、水害後も電気や給水・給湯などのライフラインを確保しています(図中6~9)。そして、浮力対策として、一定の水位に達した際に「床下注水ダクト」から水をあえて床下に入れ、その水を重りにして浮上を防ぐ「スタンダードタイプ」(図中10)、及び、浮力に逆らわずに安全に建物を水に浮かせ「係留装置」で元の位置に戻す「浮上タイプ」(図中11~13)の2つの仕様を開発しました。また、「浮上タイプ」の浮上時に、漂流物が建物の下に挟まった場合も、約半日の作業時間で復旧できる方法を確立しました。
※1:自社調べ
▲一般的な住宅のリビング(画像左上)は浸水し、家具も流されてしまっていますが、耐水害住宅(画像左下)は浸水することなく普段通りの状態を保っています。(「耐水害住宅」の実物大建物浸水実験にて)
▲一般的な住宅のリビング(画像左)は浸水し、家具も流されてしまっていますが、耐水害住宅(画像右)は浸水することなく普段通りの状態を保っています。(「耐水害住宅」の実物大建物浸水実験にて)
耐水害住宅の詳細はこちら一条の太陽光パネルは、従来のものと比べ、同じ面積で約1.2倍というトップクラスの出力を実現。さらに、一般的な後載せタイプとは異なり、屋根全体に隙間なく敷きつめることで、業界最高水準の大容量搭載を実現しました。
蓄電池の寿命は充放電のサイクル数が目安となります。一般的な蓄電池の約6,000サイクルに比べ、一条のオリジナル蓄電池は約12,000サイクル。約2倍の充放電サイクル※3を誇るため、長持ちする分、先々の設備再設置費用を抑えることもできて安心です。
※2:蓄電池自体の期待寿命。蓄電システム自体の寿命を示すものではありません。
※3:メーカー実測値
一般的な太陽光の自立運転だけでは、災害時に使えるのは1つの専用コンセントだけ。一条工務店なら、停電時、太陽光パネルで創った電気や、蓄電池に充電した電気を、最大5.5kVAまで家中に供給することができ、ほぼ普段通りの生活※4を継続することができます。
※4:季節、天候、電化製品機種、使用状況によって異なります。
「エコキュート」は、万が一水の供給が止まってしまった際には、タンク内の湯水を生活用水として使用することが可能です※5。4人家族で約6日分の生活用水を確保することができます。
※5:「エコキュート」の水は、飲用には適していません。
監修者のコメント
近年の被害状況が関心に大きく関与
今回のアンケート結果からは、全体的に災害についての意識の高まりが感じられます。今までは地震以外はあまり自分ごととして捉えることが少なかったかと思いますが、特に水害に対しての関心の高さは、近年の災害状況が大きく関与していると思われます。
みなさんが不安なのに備えが足りないものとして
①暑さ寒さ対策②災害トイレの準備③灯りは一人一灯、一部屋一灯
の3つが挙げられます。
(※辻さんからは3つの項目に関する具体的なアドバイスについても、以下の調査結果とともにコメントいただいております。詳細は各項目をご参照ください。)
辻 直美さん
国際災害レスキューナース/
一般社団法人育母塾代表理事
看護師歴31年、災害レスキューナースとして27年活躍し、被災地派遣は国内29件、海外2件。被災地での過酷な経験をもとに、“本当に使えた”防災の「自衛術」を多くの人に知ってほしいと、大学や小中学校で教えるだけでなく、一般向けの講座も行っている。