楽しく続ける ローリングストック①
2023.09.01
続ける秘訣は“楽しむ”こと!防災食のプロが教える、ローリングストックのポイント《前編》
地震や台風、水害に多く見舞われる災害大国・日本。災害が起こって在宅での避難となったときに必要な食料を、日常的に備蓄・消費する「ローリングストック」という考え方が注目されています。今回は、防災食アドバイザーとして活躍されている今泉マユ子さんに、ローリングストックについてお話を伺い、前後編に分けてご紹介します。
※災害時には、各自治体の指示に従って行動してください。
地震や台風、水害に多く見舞われる災害大国・日本。災害が起こって在宅での避難となったときに必要な食料を、日常的に備蓄・消費する「ローリングストック」という考え方が注目されています。今回は、防災食アドバイザーとして活躍されている今泉マユ子さんに、ローリングストックについてお話を伺い、前後編に分けてご紹介します。
※災害時には、各自治体の指示に従って行動してください。
そもそもローリングストックって…?
食べ物や日用品を少し多めに購入し、日常生活で古いものから順に消費することで、使った分を買い足し、補填するというサイクルを繰り返しながら備蓄する方法です。災害時には電気やガスなど、すべてのライフラインが止まることもあるため、常温保存ができ、簡単に食べられるものを備蓄しておくことが望ましいとされています。
memo
常温陳列の商品は使える
日常で使用することを考えれば、スーパーなどに常温で陳列されているものは保存期間に違いはあれど大体ローリングストックに使えるということになります。
important
大切なのは食料のサイクル
大切なのは買ってしまっておくことではなく、
日常で消費してサイクルすることです。
備蓄を活用して日々の料理を上手に
“手間抜き”
毎日の料理を効率的に支えてくれるレトルト食品や缶詰は、日持ちするので備蓄にも最適です。最近では、味の種類や量、容器のタイプなど多様化するニーズに合わせた商品が続々登場しています。さらに、レトルトや缶詰食品の中身は旬の時期のものを使うことから、新鮮で栄養価も高いことがわかっています。普段の食事に上手く取り入れることで、手を抜くのではなく上手に“手間抜き”をすることができます。
備蓄があればもしものときの
大きな“安心”に
災害時に備蓄した食料があることは家族の強い味方になります。災害が発生すると、街では日用品や食料品の買い占めが起こってしまうことも。いつも買えているものをあちこち探し回ったり、水をもらうために数時間も並んだりと大きなストレスを感じてしまう可能性もあります…。非日常が訪れたときこそ、普段から口にしているものを手軽に食べられることが、大きな安心につながります。
本を読んで得た知識も、いざ実践してみるとなかなか上手くいかない…。という経験はありませんか?実際にやってみるからこそ、知識だけでは気付けなかった発見が多くあります。もしもの備えだからこそ、「知っている」ではなく「できる」ためのポイントを押さえましょう。
防災食というと「長期保存ができるもの」と捉えている方も多いかもしれません。しかし、いざ開けてみると苦手な味で食べられない、というケースも考えられます。非常時だからこそ、いつもと同じ「食べ慣れたもの」を食べることでホッと安心し、束の間の日常を取り戻すことができます。普段から消費することで、家族の好きな味を把握し備蓄しておくことができます。
important
人の好みは千差万別!
非常時だからこそ、好きな味で一安心。
食料と水の
最低限必要な備蓄量
※感染症対策に備えて2週間以上の備蓄が推奨されています
ローリングストックを無理なく続けるためのポイントは“見える化”すること。「備蓄場所」、「賞味期限」、「食べ方」の3つをしっかり意識して備蓄を始めてみましょう!
備蓄場所の見える化
もしものときに、「備蓄してある場所がどこかわからない…」ということが起こらないように、備蓄場所は家族全員が把握しておくようにしましょう。また、1か所に全てをまとめておくのではなく、分散して備蓄しておくことをおすすめします。
賞味期限の見える化
いざというとき、「賞味期限が切れていて食べられなかった。」ということを防ぐために、賞味期限が一目でわかるようマジックなどで大きく記入しておきましょう。期限の近いものを右から並べて使用するなど家族でルールを決めておくと、より分かりやすくなります。
食べ方の見える化
せっかく備蓄していても、作り方がわからなかったり、必要な材料を一緒に備蓄していなかったりでは意味がありません。初めて食べるものは、実際に一度作ってみることが重要です。そうすることで、調理に必要な道具や材料が見えてきます。
主食だけでなく、
おやつやジュースなど
バランスの良い備蓄を
普段の生活が一変してしまう災害時には、想像以上のストレスがかかります。そんなとき、体に必要なエネルギーを摂取することと同じくらい、心の栄養をとることも欠かせません!家族の好きなお菓子やジュースなどもしっかり備蓄しておくと良いでしょう。
もし今後、首都直下型地震などの大規模災害が発生した場合、電気、ガス、水道などのライフラインの機能を95%回復させるのに要する目標日数は電気の7日が最短。ガスは60日もかかると想定されています※。そのため、カセットコンロやボンベも食料品と一緒に備蓄しておくことが大切です。
また、ガスボンベには使用期限があるためカセットコンロと一緒に月に1回は使用し、もしものときも正常に使えることを確認しておきましょう。
備えておくのは
食材だけではなく、
食べる前後に必要なものも
災害時を想定した準備をすることで、調理道具の他にも必要となるものがわかってきます。例えば、料理を分ける紙皿やゴミを捨てるポリ袋など、各家庭で必要となるものも一緒に備蓄しておくことを忘れずに!
「ローリングストック」の考え方や実践方法について、お分かりいただけたでしょうか。食材のお買い物などで、できることから始めてみては?
※本記事は「iikoto」2021年9月号を再編集したものです。掲載情報は発行当時のものになります。
監修:今泉 マユ子さん
株式会社オフィスRM代表取締役/管理栄養士
東日本大震災の経験から災害時の食に関心を持ち、防災食アドバイザーとして全国で講演を行う。管理栄養士、防災士、災害食専門員など多くの資格をもち、メディアから「レトルトの女王」と呼ばれ、テレビ出演は100本以上になる。著書に『もしもごはん』シリーズ(清流出版)、『親子で学ぶ防災教室』シリーズ(理論社)など多数。
この記事のまとめ
風水害への備え
○ハザードマップ・避難場所・家族の連絡方法などの確認
○飛散防止フィルムを貼って窓ガラスを補強
○物干し竿など屋外のものは、できるだけ室内に移動
在宅避難ができる3つの条件
〇自宅に大きな損壊がない
〇自宅周辺に火事や液状化などの二次災害がない
〇余震が続くなどの心理的な不安がない
『iikoto』は、豊かに、健やかに、楽しく暮らすためのヒントが詰まった、一条のライフスタイルマガジンです。無料でプレゼントいたしますので、バックナンバーページからぜひご請求ください。
※本記事は『iikoto』(2021年9月号)の特集をもとに編集しています。
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