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2024.05.16

憧れのライフスタイル 11-23[知育につながる体験]

“聞いてあげること”から始める
スクスク子育て!知育のAtoZ《後編》

“聞いてあげること”から始める スクスク子育て!知育のAtoZ《後編》

遊びや体験が学びにつながる「知育」について、前後編でご紹介している「スクスク子育て!知育のAtoZ」。後編では、実際に子どもの心を動かす体験の具体的なアイデアを、教育・保育評論家の汐見稔幸さんに伺いました。日々の暮らしの中で、できることから取り入れてみてはいかがでしょうか。

遊びや体験が学びにつながる「知育」について、前後編でご紹介している「スクスク子育て!知育のAtoZ」。後編では、実際に子どもの心を動かす体験の具体的なアイデアを、教育・保育評論家の汐見稔幸さんに伺いました。日々の暮らしの中で、できることから取り入れてみてはいかがでしょうか。

前編で「知育とは、子どもの賢さを育てるための働きかけや環境づくりである」とご紹介しました。それでは、知育に役立つ体験を提供するにはどんな考え方ややり方があるのか、ここからは2つのトピックで見ていきます。

いち早く2歳からの幼児教育を無償化したベルギーでは、幼児期の子どもの能力を伸ばすための条件を調べたところ、「安心して長く熱中できる環境」が整っていることが大切であることが分かりました。そのためには、こうするのが正解というモデルを作り安易に評価しない、頭ごなしに怒らない、失敗することが許されているように接してあげることが重要になります。

日々の遊びは、子どもたちの丈夫な身体を育てるだけではありません。遊びを通じて、工夫する力、自然や人とコミュニケーションを図る力、社交性などの非認知的スキルを伸ばすチャンスがいっぱいあります。さまざまな遊びから子どもたちの心を育てる体験をさせてあげましょう。

子どもが読書好きになるというのは、幼い頃にいっぱい本を読んでもらって楽しかったという体験が原点になることがわかっています。心を動かすだけでなく、本で得た知識を自分で体感したとき、「これが○○っていう感覚なんだ」と生の体験を通じてより物語にイキイキと触れることができます。

外で遊ぶときには、曜日をヒントに自然と遊ぶ「曜日の体験」をしてみましょう。たとえば、日曜日はお日様を相手に日向ぼっこや影ふみで遊ぶ。月曜日は、月を相手に満ち欠けの変化を楽しんだり、望遠鏡で星を見るなど夜でも自然と触れ合うことができます。親も子どもの気持ちになって一緒に楽しんであげましょう。

あるカナダの作家は「家族とは、毎日の夕食を一緒に食べる人」といいました。これは、単にご飯を食べるということではなく、その日自分がどんなことに心が動いたかなど1日のできごとを共有することが大切だということです。家族みんなで食卓を囲み、それぞれの1日にどんなことがあったか耳を傾けてみましょう。

家族で外食に行くなど、おいしいものを食べに出かけたら、自宅でその味を子どもと一緒に再現してみましょう。どんな食材・調味料が使われていたか、隠し味には何が使われているか、どうすればあの味に近づけられるかなど。考え、創意工夫をすることで、毎日の食事も子どもの知的好奇心を伸ばす機会になります。

インターネットを通じてなんでも情報が手に入る現代。しかし、「百聞は一見にしかず」というように、直接見る・触れることは子どもにとって大きな財産になります。美術館や博物館に行くことや、近所の歴史ある神社などを訪れてみるのもいいでしょう。子どもにとってビビビとくる本物に触れさせることで、五感を刺激してあげましょう。

グローバル化や多様性などますます複雑化する社会ですが、人として身に付けるべきことに大きな違いはありません。さまざまな人と暮らしていく中で、違った考え方や習慣を違和感なく面白いと思える感性を持ち、困った人がいたら助けてあげる。そうした体験を通じて、これからの社会に必要なコミュニケーション能力や、人の役に立つという力の土台が育ちます。

ついつい「こら!」と叱ってしまいたくなる子どものイタズラも、本人からすると純粋な好奇心から来る探索活動です。「こうしたらどうなるだろう?」、「どうして?」というさまざまな感情が湧き出て探索活動から課題意識や疑問を持ち工夫することを始めるのです。こんなときは、頭ごなしに叱るのではなく、まずは子どもの気持ちになって「どこに興味を持ったんだろう」という目線で見てあげてください。悪いことは、どこが悪かったのか説明した上で、子どもの関心が膨らむような声をかけてあげましょう。

子どもたちにいろいろな体験をさせることで、感性が豊かになり、コミュニケーション能力や社会性が養われる「知育」。子どもと一緒に体験することで新しい発見があれば、親子で楽しく成長できるかもしれませんね。

※本記事は「iikoto」2022年1月号を再編集したものです。掲載情報は発行当時のものになります。

監修:東京大学名誉教授 汐見稔幸さん

専門は教育学、教育人間学、保育学、育児学。自身も3人の子どもの育児を経験。保育者による本音の交流雑誌『エデュカーレ』編集長でもある。持続可能性をキーワードとする保育者のためのエコカレッジ「ぐうたら村」村長。NHK E-テレ「すくすく子育て」など出演。著書に『教えから学びへ』2021年(河出書房新社)、『汐見稔幸 こども・保育・人間』2018年(学研)など。

監修:東京大学名誉教授 汐見稔幸さん
岡本典子さん

『iikoto』は、豊かに、健やかに、楽しく暮らすためのヒントが詰まった、一条のライフスタイルマガジンです。無料でプレゼントいたしますので、バックナンバーページからぜひご請求ください。

※本記事は『iikoto』(2022年1月号)の特集をもとに編集しています。

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