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2024.05.01

憧れのライフスタイル 11-22[知育の基本]

“聞いてあげること”から始める
スクスク子育て!知育のAtoZ《前編》

“聞いてあげること”から始める スクスク子育て!知育のAtoZ《前編》

毎日の子育てには、いろいろな疑問が付きもの。今回は、教育・保育評論家の汐見稔幸さんに知育とは何か、家庭内ではどんなサポートができるのか、お伺いしました。

毎日の子育てには、いろいろな疑問が付きもの。今回は、教育・保育評論家の汐見稔幸さんに知育とは何か、家庭内ではどんなサポートができるのか、お伺いしました。

本当に頭のいい子ってどんな子? 本当に頭のいい子って どんな子?

上手にあれこれできるようになってほしい。きちんとした学力を身につけてほしい。
子育て中の親なら誰もがわが子にそう願うのではないでしょうか。人より計算が早くできることや、漢字をたくさん書くことができる力はもちろん大切ですが、社会に出てからの成功や幸せを手に入れるために必要とされる力は、それだけではありません。勉強ができる子というだけでなく、本当に頭のいい子に育てるための「知育」について、前後編に分けて6つのトピックでご紹介します。

「知育」というと、子どもの幼児教育や教材、玩具をイメージされる方も多いかもしれません。知育とは、子どもの“賢さ”を育てるための働きかけや環境づくりです。ここでいう賢い子というのは単に勉強ができる子どもというわけではありません。知的好奇心が強いことや粘り強く挑戦すること、わからないことを素直に聞くことができる、感情のコントロールができる。こうした感性や協調性、コミュニケーションを図るのが上手な賢い子を育てるために働きかけ、環境を整えてあげることが知育であるといえます。

まずは、脳や身体と深いつながりがある「知育」の基本について学んでいきましょう。

人間がものを考えるときには、読み書きや計算などの“認知的スキル”と、わからないことを素直に聞けるコミュニケーション力や、自分の知らないことや珍しいことに興味を持つ好奇心などの“非認知的スキル”という2つの力が必要になります。成長が目に見える“認知的スキル”はよく知られています。しかし、大人になってからも一生大事になる感性や社会性、対人関係能力など、成長が見えづらい“非認知的スキル”を伸ばすための環境づくりをしてあげることも大切です。

認知的スキルや非認知的スキルの土台となるのは、心を動かす体験や遊びです。こうした心を動かす上で大切なことは、実際に身体を動かして経験すること。子どもたちが、遊びの中から自らの目で見て、身体で触れた体験をもって、「自分もやってみたい!」「あれはどうしてなんだろう?」と感じる好奇心を掻き立てます。こうした身体で体感したことを、言葉にしたり絵で表現したりと考え、試行錯誤を重ねることで、初めて自分の力になっていきます。

認知的スキルや非認知的スキルの土台となる体験。その体験をより豊かなものにするためには、親子のコミュニケーションの取り方が重要になります。子どもと一緒に体験を楽しむパートナーとして、日々の会話から子どもの好奇心をくすぐることを意識してみましょう。

たとえばお風呂のお湯が熱いときに、無言で水を足すのではなく「熱いから、お水足そうか」「お水足したから、ちょうど良くなったね」など物事の因果関係をていねいに言葉にして説明してあげることで、子どもたちは世の中のことを区分けして理解する準備ができます。こうした区分けができるようになると、感情がカタチをもって展開するという論理的思考の源になります。

ユニセフが調査する「子どもの幸福度」で常に上位のデンマークでは、必ず子ども自身に意見を聞くことから始めるそうです。「なんで?」「あなたはどう思う?」「どうしてだと思う?」と聞いてあげることで、幼いうちから自分の意見を持つことや、発信する癖が形成されます。こうした能力は、“対人関係能力”を築く上での素養になります。

毎日のお手伝いは、単に生活に役立つということだけではなく、「これは、自分の役割だ!」という自信や思考力を鍛えることにつながります。もっと効率よくするために次のステップを考え、課題意識を持ち、やり方を変える。こうした工夫を凝らしながら「できるようになった!」という達成感を得ることができます。身近なお手伝いも、立派な心の育みになるのです。

子どもにとって、何か起こったとき近くに信頼できる人がいることは、大きな安心感につながります。たとえば、わからないことが多い勉強も、リビングで行えば近くに相談できる人がいるので安心して集中することができます。家族とのコミュニケーションが図りやすいということは、何かあったときに自分を守ってくれるという心の安全基地をつくります。

辛いことがあったときに、親が自分の手を握ってくれる、抱きしめてくれるという身体的な触れ合いがあると、「どんなことがあっても自分を守ってくれる、意見を聞いてくれる」という安心感が生まれます。このとき、子どもの脳内では「オキシトシン」という幸せホルモンが分泌されます。こうした触れ合うことによる安心感を、しがみつく(アタッチ)という言葉から「アタッチメント」といいます。愛されているという感覚は、社会に出たときも人は信頼できるものというオープンな社会性を育てることにつながります。

「知育」とは、子どもの知識や感性をスキルアップさせるための働きかけや環境づくりであることが、前編でお分かりいただけたと思います。後編では、実際に心を動かす体験について具体的なアイデアをご紹介しますので、あわせて参考になさってみてください。

※本記事は「iikoto」2022年1月号を再編集したものです。掲載情報は発行当時のものになります。

監修:東京大学名誉教授 汐見稔幸さん

専門は教育学、教育人間学、保育学、育児学。自身も3人の子どもの育児を経験。保育者による本音の交流雑誌『エデュカーレ』編集長でもある。持続可能性をキーワードとする保育者のためのエコカレッジ「ぐうたら村」村長。NHK E-テレ「すくすく子育て」など出演。著書に『教えから学びへ』2021年(河出書房新社)、『汐見稔幸 こども・保育・人間』2018年(学研)など。

監修:東京大学名誉教授 汐見稔幸さん
岡本典子さん

『iikoto』は、豊かに、健やかに、楽しく暮らすためのヒントが詰まった、一条のライフスタイルマガジンです。無料でプレゼントいたしますので、バックナンバーページからぜひご請求ください。

※本記事は『iikoto』(2022年1月号)の特集をもとに編集しています。

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