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10-27 健康と住まい

正しく整えて元気に! 健康姿勢②

2025.03.17

良い姿勢が健康をつくる!体の不調を改善できる簡単ストレッチ法《後編》

つらい肩こりや腰痛の原因になっているかもしれない姿勢のゆがみ。そこで今回は、姿勢をよくする方法について、理学療法士の山口正貴先生にお話を伺いました。前編では、姿勢の悪さが健康にもたらす影響やセルフチェックの方法、さらに姿勢に関するワンポイント知識などをご紹介しました。後編では、身体にストレスを溜めないテクニックや簡単なストレッチの方法を具体的に解説します。

ストレスを溜めない 簡単テクニック ストレスを溜めない 簡単テクニック

Technique 01 ながら逃がし Technique 01 ながら逃がし

「ながら逃がし」とは、こまめに姿勢を変えて、身体に溜まったストレスを逃がすテクニックです。ポイントは逆の動きをすること。ずっと前かがみでいたら背中を反らす、荷物は右手と左手で交互に持つなど、身体の一部に負担がかかりすぎないように前後左右逆の動きでバランスを取りましょう。

●	ながら逃がしの例 ●
立ち仕事
のとき
前かがみでの作業が
続いたら、背すじを伸ばす
座り仕事
のとき
良い姿勢で疲れたら、
椅子にもたれてリラックス
買い物
のとき
バッグは右肩と左肩、
交互にかける
通勤・通学
のとき
電車・バスの吊り革は
右手と左手で交互に持つ
その他
足を組み替える、
頬杖をつく手を替える
Technique 02 ながらストレッチ Technique 02 ながらストレッチ

「ながら逃がし」で姿勢を変えるように心がけていても、少しずつ身体にストレスは蓄積してしまいます。そんなときは「ながらストレッチ」で、疲れや痛みが出る前に溜まったストレスを解消してあげましょう。立ち姿勢、座り姿勢が長時間続いたときに、下記のストレッチから自分に合うものを実践してみてください。

●	ながらストレッチのポイント ●
  • 30分ごとに身体の疲れを感じる前
    に行う
  • 痛みが出ない程度にとどめる
  • 1セット10〜20秒を目安に
  • 身体の硬さや張りがなくなるまで
    繰り返す
CASE1 長時間立っているとき CASE1 長時間立っているとき
  • 家事などで中腰の姿勢が多い人に反るストレッチ 家事などで中腰の姿勢が多い人に反るストレッチ

    中腰姿勢などで腰が張ってきたときは、反るストレッチ。立ってお尻に手を当て、ひざは伸ばしたままお腹を前に出します。頭と足の位置は変えずにお腹を出してCカーブをつくるイメージで伸ばしましょう。後ろに反りすぎると、腰を痛める原因になるので注意。

  • 立ち仕事が多い人に曲げるストレッチ(腰) 立ち仕事が多い人に曲げるストレッチ(腰)

    きれいな立ち姿勢は筋肉で支えているため、背中や腰の筋肉がパンパンに張ってきます。合間を見てかがむ動作をすると、痛みや張りを早く解消できます。

  • 良い姿勢が続き疲れたときは曲げるストレッチ(肩) 良い姿勢が続き疲れたときは曲げるストレッチ(肩)

    良い姿勢のときは、肩甲骨が内に寄っているので、逆に開いてあげましょう。座って手を組み、前に伸ばします。肩甲骨を外に開きながら背中を丸め、頭を両腕の間に。手は前に、背中は後ろに、それぞれ引き離すようにストレッチ。

CASE 2 長時間座っているとき CASE 2 長時間座っているとき
  • 猫背が続いてしまったときにあご引きストレッチ 猫背が続いてしまったときにあご引きストレッチ

    猫背が続くと、首が前に倒れ、あごが出た状態に。元に戻すために、背すじを伸ばしてあごを引き、手で真後ろに押していきます。あごを引くことで、前に倒れていた首の骨の下部が伸び、反っていた上部が緩みます。これだけで首の痛みや肩こりがラクになることも。

  • 頭痛があるときは… 頭痛があるときは…

    あご引きストレッチの後、頭を前に倒し、首の後ろの筋肉を伸ばして3秒。数回繰り返すことで血行が促され、頭痛に効果的です。

Column スマホ首に気をつけて Column スマホ首に気をつけて

長時間スマホを使っていると、背中が曲がり、あご、首が前に出ている状態になってしまいます。最初は、コリや疲れを感じる程度ですが、そのままの状態が続くと首の骨がまっすぐに変形するストレートネック(いわゆるスマホ首)になって痛みが出る危険が。定期的に「あご引きストレッチ」をして、首の位置を戻してあげましょう。

座りっぱなしで身体が張ってきたときのストレッチ。息を吐きながら背中を丸めるポーズと、息を吸いながら背すじを伸ばすポーズを交互に行うことで、腰や肩の緊張がほぐれていきます。

Pick Up!歩くだけでも身体のストレスを逃がせる Pick Up!歩くだけでも身体のストレスを逃がせる

気がつくとつい同じ姿勢になっている…そんな人は、できるだけ階段を使う、近くの公園へ散歩に行くなど、歩く機会を増やすのもおすすめ。歩いているときは常に姿勢が変わっているので、身体のストレスを無理なく減らすことができます。

疲れない・痛まない 身体のつくり方 疲れない・痛まない 身体のつくり方

肩こりや腰痛などを根本的に解決するには、ストレッチが不可欠。首や肩、背中、腰にある筋肉や関節を柔らかくすることで、身体にかかる負担を分散でき、不調になりにくくなります。ここでは、硬くなった身体をほぐし、しなやかな身体をつくる「バンザイ体操」と「ねたままストレッチ」についてご紹介します。

バンザイ体操&ねたままストレッチの ● 安全で効果的な方法 ● バンザイ体操&ねたままストレッチの ● 安全で効果的な方法 ●

ストレッチはやり方が悪いと逆効果になったり、筋肉や靭帯を痛めてしまいます。正しい方法で、効率的に柔軟性をアップさせましょう。

Point 1 ちょっと痛いくらいで止める Point 1 ちょっと痛いくらいで止める

早く効果を出そうと痛いのを我慢してストレッチをすると、筋線維が壊れて筋力が落ちてしまうことも。“痛気持ち良い”くらいで止めましょう。

Point 2 反動や勢いをつけない Point 2 反動や勢いをつけない

反動をつけた無理なストレッチは、筋肉がちぎれる可能性も。一旦ポーズを取ったら、それをキープするのが安全なやり方です。

Point 3 週3日で十分な効果 Point 3 週3日で十分な効果

ストレッチは毎日できなくても大丈夫。週3日で、毎日したのと同じ効果があります。時間があるときに気楽に続けていきましょう。

Point 4 お風呂上がりがベスト Point 4 お風呂上がりがベスト

入浴後は身体が温まって、最も筋肉を伸ばしやすいタイミング。逆に朝起きてすぐは身体が硬く、ハードなストレッチには不向きです。

首や肩がスーッと軽くなる!バンザイ体操 首や肩がスーッと軽くなる!バンザイ体操

“バンザイ”によって、肩から背中の筋肉を鍛えつつ、丸まった背中や腰を伸ばすストレッチ。特に首の痛みや肩こり、頭痛に有効です。姿勢の悪い人は、壁に背をつけてニュートラルポジションを確認しながら行うのが良いでしょう。

  • ❶ 腕は真上よりやや後ろに ❶ 腕は真上よりやや後ろに

    背筋を伸ばしてあごを引きバンザイをする

  • ❷ ❷

    そのまま、ゆっくりと上を向く

  • ❸ 首すじの筋肉を伸ばすつもりで ❸ 首すじの筋肉を伸ばすつもりで

    口をとがらせて左右斜め後ろに首を傾ける
    (3秒ずつ)

  • ❹ あごは引いたまま! ❹ あごは引いたまま!

    顔の向きを正面に戻して、左右を向く(3秒ずつ)

  • ❺ ❺

    頭を横に倒す(左右3秒ずつ)

  • ❻ ❻

    脇を覗き込むように、頭を斜め前に下げる
    (左右3秒ずつ)

寝る前の5分で腰痛予防! ねたままストレッチ 寝る前の5分で腰痛予防! ねたままストレッチ

「寝たまま」できる4種類のストレッチ。「ねじる」「タオル」「まげる」「まんが(を読むポーズ)」の順に行います。身体の各部分の可動域を改善するために必要な動きがすべて網羅されていて、特に腰痛の予防改善に効果があります。どのポーズも、重力に身をまかせ、自然にストレッチされることを意識してください。

STEP 1 ねじるストレッチ 肩からひざまでの身体の側面の筋肉を柔らかくし、背骨の可動域を広げるストレッチ。 目標 右肩と右ひざが床につくこと STEP 1 ねじるストレッチ 肩からひざまでの身体の側面の筋肉を柔らかくし、背骨の可動域を広げるストレッチ。 目標 右肩と右ひざが床につくこと

仰向けになり右ひざを曲げる。

右ひざを左に倒し、左手を右ひざの上に添え、
右腕はバンザイする。

脱力し、深呼吸をしながら10秒キープ。

反対側も同様に。左右各3回。

STEP 2 タオルストレッチ 太ももの裏やふくらはぎの筋肉を柔らかくし、股関節とひざ、足首の可動域を広げるストレッチ。目標 足の裏が天井を向くこと STEP 2 タオルストレッチ 太ももの裏やふくらはぎの筋肉を柔らかくし、股関節とひざ、足首の可動域を広げるストレッチ。目標 足の裏が天井を向くこと

タオルを細長く持ち、
仰向けで片足のつま先に引っ掛ける。

ひざをまっすぐ伸ばし、
腕の力で足を引き上げる。

腕以外は脱力し、深呼吸をしながら
10秒キープ。

反対側も同様に。左右各3回。

STEP 3 まげるストレッチ 腰とお尻の筋肉を柔らかくし、背骨と股関節の可動域を広げるストレッチ。目標 太ももが胸につくこと STEP 3 まげるストレッチ 腰とお尻の筋肉を柔らかくし、背骨と股関節の可動域を広げるストレッチ。目標 太ももが胸につくこと

仰向けになり両ひざを曲げる。

頭は床につけたままで、片ひざずつ、
両ひざを抱える。

腕以外は脱力し、深呼吸をしながら
10秒キープ。

片足ずつ下ろして、両ひざを曲げた
状態に戻る。これを3回。

STEP 4 まんがストレッチお腹と太ももの前の筋肉を柔らかくし、背骨の可動域を広げるストレッチ。目標 このポーズがラクにできること STEP 4 まんがストレッチお腹と太ももの前の筋肉を柔らかくし、背骨の可動域を広げるストレッチ。目標 このポーズがラクにできること

うつ伏せになり、ひじを立てる。
ひじは肩の真下にくるように。

ひざを曲げて両かかとをつける。
うつ伏せでまんがを読むようなポーズ。

脱力し、深呼吸をしながら10秒キープ。

うつ伏せに戻る。これを3回。

今回ご紹介したストレッチは、どれも気づいたときに簡単にできるものばかりです。是非、お試しください。

※本記事は「iikoto」2024年2月号を再編集したものです。掲載情報は発行当時のものになります。

SUPERVISOR 
東京大学医学部附属病院
リハビリテーション部 理学療法士 
山口正貴さん

大学在学中にぎっくり腰をわずらい、リハビリテーションに関心を持つ。卒業後、理学療法の道へ進み、2005年に理学療法士免許取得、東京大学医学部附属病院に入職。理学療法士として医療・予防業務に携わるかたわら、腰痛の研究を開始する。2016年の研究論文が日本理学療法士学会の第8回優秀論文表彰で優秀賞を受賞。『姿勢の本』など著書多数。

山口正貴さん
iikoto

『iikoto』は、豊かに、健やかに、楽しく暮らすためのヒントが詰まった、一条のライフスタイルマガジンです。無料でプレゼントいたしますので、バックナンバーページからぜひご請求ください。

※本記事は『iikoto』(2024年2月号)の特集をもとに編集しています。

iikoto

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