ヒートショック 危険性と今できる対策
2022.05.06
入浴中が危険?ヒートショックの症状や防ぐための対策をご紹介!
血圧や脈拍が大きく上昇・下降し、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こす「ヒートショック」。その原因は、家の中の温度差にあるかもしれません。ここでは、ヒートショックの危険性と今すぐできる対策、リフォームや新築時にできる工夫について解説します。
冬場、暖房器具を置いていない浴室やトイレ、廊下は寒くて当然と我慢している人も多いのではないでしょうか。しかし、温度差のある住まいには、大きなリスクが潜んでいるのです。
暖かいリビングから寒い廊下に移動したり、寒い浴室で体を洗った後に熱い湯船につかったり。急激な「温度差」が生じると血圧が上下し、身体に大きな負担がかかります。
入浴中の死亡者数は
交通事故死亡者数の約2倍
日本のほとんどの住宅では、リビングと廊下や水まわり部分の冬場の温度を比べたとき、約6~10℃もの温度差があります。ヒートショックとは、そうした暖かい部屋から寒い部屋、またはその逆というように温度が急激に変化した際に、血圧や脈拍が上昇または下降して、心臓や血管に大きな負担をかけることです。ひどいときは、脳卒中や心筋梗塞につながる場合もあります。
ヒートショックが最も起きやすいのは冬場のトイレや浴室といわれています。浴室事故の70%は脳卒中などの循環器系障害によるもので、入浴中の死亡者数は交通事故死亡者数の約2倍。年間に5,000人近い方が亡くなっています。また、浴室事故が12月~2月の厳寒期に集中していることも特徴的です。
高齢者の交通事故死亡者数と入浴中死亡者数の比較
高齢者の「不慮の溺死及び溺水」による
発生月別死亡者数
(2019年)
暖かい場所と寒い場所の温度差を、いかに小さくするか
温度が急激に変化すると、血圧が上昇または下降することになります。
では入浴時、血圧はどのように変化するのでしょうか。
①暖かいリビングにいるとき→血圧は安定
②寒い脱衣室に移動→血管が縮んで、血圧上昇
③衣服を脱いで寒い浴室に入る→血圧がさらに上昇
④お湯につかって温まる→血管が広がり、血圧下降
⑤脱衣室に戻る→血管が縮んで、血圧上昇
ヒートショックを防ぐには、「暖かいリビングと寒い脱衣室・浴室の温度差を、いかに小さくするか」が鍵となります。
温度変化を軽減するため、
寒い場所を温める工夫を
リビングから脱衣室・浴室に移動する際の温度変化を軽減するためには、寒い場所を温める工夫が必要です。
まず脱衣室には、ヒーター等の暖房器具を置くようにしましょう。もし浴室暖房乾燥機があれば、浴室の扉を開けて一緒に温めることができます。入浴前に熱いシャワーで浴室の床や壁を暖めておくのも効果的です。
特に、浴室の洗い場が冷たくて入浴の第一歩がつらいという方や、洗い場の床がヒンヤリするのが嫌でマットを敷いているという方は、新築やリフォームの際に浴室に床暖房を設置することを検討してみてはいかがでしょうか。日本ではまだ少ないですが、スウェーデンやドイツ、イタリアなどでは浴室に床暖房やパネルヒーターなどを設置する家庭が増えています。
屋内の温度差を2〜3度に保つ
ヒートショックを防ぐためには、リビングなどの居室はもとより、玄関ホールや廊下、脱衣室、浴室、トイレまで、すべての空間の温度差を約2~3℃以内におさめることが理想だとされています。
そのためには、部屋ごとの暖房ではなく、家中をまるごと温めるセントラルヒーティングや全館床暖房などの暖房システムが有効。たとえば温水式の全館床暖房だと、どの部屋にいても温度差を感じることがなく、ふく射熱の効果で部屋全体が均一に暖まるので、上下の温度差も生じません。
また、家の中の温度を一定に保つには、住宅の構造が高気密・高断熱であることもポイントのひとつです。外気の影響を受けにくい高気密・高断熱住宅であれば、保温性が高く温めた熱が外に抜けていきません。暖房の設定温度が低くてもしっかり暖まってくれますので、光熱費の節約にもつながります。
この記事のまとめ
家の中の温度差によって
血圧や脈拍が大きく上昇・下降し
脳卒中などを引き起こすヒートショック
温度差を解消するために
・居室以外の部屋も暖める
・暖めた空気を逃さない
(全館暖房や高気密・高断熱住宅はさらに有効)
LINEの友だち登録で
新着記事をお知らせ
一条工務店のLINE公式アカウントにご登録いただくと、記事の更新があった際にお知らせを受け取ることができます。
また、LINEでも収納術やお掃除アイデアなど暮らしに役立つ情報を発信中です。
「友だち登録」は右の二次元コードから!
この記事のタグ
ヒートショックふく射熱方式入浴時全館床暖房全館暖房寒暖差浴室温度差脱衣室脳卒中高断熱高気密今読まれている記事
-
1
メリットいっぱい! 長期優良住宅
お金と住まい
【2024年度版】 長期優良住宅5つの減税・優遇制度を解説
-
2
返済比率 年収の何%が目安?
お金と住まい
住宅ローンの無理のない返済比率を解説
-
3
住宅取得等資金贈与 特例の改正ポイント
お金と住まい
住宅取得等資金贈与の非課税の特例はどう変わった?
-
4
接道義務 敷地と道路の関連性
土地探しの知識
接道義務とは?道路に面していない土地に家は建てられる?
-
5
住宅ローン減税 条件や申請方法
お金と住まい
【2024年度版】住宅ローン減税の控除の条件や申請方法を解説
-
6
年収別 住宅購入の予算
お金と住まい
年収別で見る注文住宅の購入予算!私はいくらの家を建てられる?