前後編にわたって解説している「始めよう、みんなの防災」。後編も引き続き、国際災害レスキューナースの辻直美さんの監修で、風水害への備えと、在宅避難の際に気をつけるべきことについて解説していきます。
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前後編にわたって解説している「始めよう、みんなの防災」。後編も引き続き、国際災害レスキューナースの辻直美さんの監修で、風水害への備えと、在宅避難の際に気をつけるべきことについて解説していきます。
大型台風に集中豪雨…
風水害に備える
近年、日本に接近・上陸する大型台風が増えて大雨や洪水、暴風をもたらし、集中豪雨による被害が頻発しています。ただ、風水害は、地震とは異なり予測しやすい災害です。日頃からしっかり備え、気象情報にも敏感になっておきましょう。
ふだんから風水害が
起きた時の行動を考えておく
まずは、自分の住む地域の風水害に対する危険度を調べておくことが重要です。リスクが把握できたら、避難方法などの対策を立てましょう。
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STEP1
ハザードマップで洪水の危険度を把握しておく
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STEP2
避難所、避難経路の確認(前もって避難プランを立てておく)
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STEP3
家族間の緊急時の連絡手段、集合場所などの確認をしておく
主な水害ハザードマップ
洪水
大雨や台風の際の浸水が予想される区域や浸水の程度などを予測
津波
津波による浸水などの被害が想定される区域や浸水の深さ、津波の到達時間などを予測
土砂災害
大雨や地震による崖崩れなどが起こる土砂災害の危険区域を予測
室内の安全のために
窓ガラスを補強しよう
飛来物で窓ガラスが割れないように、飛散防止フィルムを貼るのがおすすめです。急な場合には、ガムテープを貼って対応します。また、割れたガラスの飛散を最小限に抑えるため、寝る前には各部屋のカーテンを閉める習慣をつけましょう。
家のまわりもしっかり対策
暴風が起こると、あらゆるものが飛ばされます。まず、物干し竿、ガーデニング、レジャー用品など屋外のものは、できるだけ室内に移動しましょう。浸水防止のため、ベランダの排水口や家のまわりの側溝は、掃除をして水はけをよくしておきます。外にある自転車は、カバーを外し倒しておくと安心です。
危険を感じたら
すみやかに行動を
危険を感じた場合や市町村から避難勧告が発令された場合には、すみやかに行動しましょう。とくに小さい子どもや高齢者などの災害弱者がいる家庭は、早めの判断が必要です。
災害発生の警戒レベル
防災情報の警戒レベルは5段階に分けられています。レベル4は対象地区住民の全員避難を意味します。周囲が暗くなっているなど避難場所へ移動するとかえって危険な場合は、近隣の安全な場所への避難を優先してください。
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警戒レベル1
心構えを高める(気象庁が発表)
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警戒レベル2
避難行動の確認(気象庁が発表)
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警戒レベル3
避難に時間を要する人は避難(市町村が発令)
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警戒レベル4
安全な場所へ避難(市町村が発令)
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警戒レベル5
既に災害が発生・切迫している状況(市町村が発令)
知ってほしい
在宅避難のこと
いざというときのために、必ず確認しておきたいのが最寄りの避難所です。ただその現実は、いきなり知らない人と一緒に寝泊まりしなければならない、非日常な場所です。快適さもプライバシーもなく、お風呂やシャワー、冷暖房も使えないこともある、非常にストレスの多い場所となります。しかも、昨今はウイルス感染のリスクから密状態を避けるため、避難所1ヶ所あたりの人数制限がより厳しくなることも考えられます。
本当に身の危険を感じたら、避難所に逃げなければなりません。しかし、いくつかの条件が整えば、自分の家でふだんの暮らしを続けながら避難生活を送る、在宅避難という選択もあります。
在宅避難ができる条件って?
次の3つの条件をクリアしていたら、
在宅避難を考えてみましょう。
- ■ 自宅に大きな損壊がない
- ■ 自宅周辺に火事や液状化などの二次災害がない
- ■ 余震が続くなどの心理的な不安がない
大事な情報収集、
いちばん早いのはTwitter
発災後、安全が確認できたら、情報収集を開始。情報がいちばん早いTwitterは、気象庁など信頼性の高い公共機関のアカウントを日頃からフォローしておきます。スマートフォンに防災関連アプリを入れ、プッシュ通知(アプリを立ち上げなくても、情報が送信される機能)を設定しておくとよいでしょう。
在宅避難のために
備えておきたいものは?
水
大人ひとり一日3リットル×10日分が目安。ふだんから多めに備え、使ったら補充するローリングストックが基本です。生活用水は浴槽に貯めておくのもよいでしょう。
食料
冷蔵庫をはじめ家の中のすべてが食庫と考え、災害用ではなく、ふだんから食べ慣れたもので備えておきましょう。水と同じく、こちらもローリングストックがおすすめです。
非常用トイレ
断水時には必須です。平時に一度使ってみるようにしましょう。
避難所へ行くとしたら…
そのほか、
こんなアイテムも!
電気やガスが止まっても温かい食事がとれるカセットコンロ&ボンベは必須。また、小さくても頼りになるのが防災笛です。救助を呼ぶとき、大声を出して体力を消費してしまうリスクを防ぎます。
日本は大地震や大型台風、集中豪雨といった災害リスクを常に抱えています。いつ起こるかわからない自然災害から命や家財を守るために、今から防災の備えをしっかりしておきましょう。
※本記事は「iikoto」2020年9月号を再編集したものです。掲載情報は発行当時のものになります。
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国際災害レスキューナース/一般社団法人 育母塾 代表理事
看護師として活動中に阪神・淡路大震災を経験。実家が全焼したのを機に災害医療に目覚める。2022年4月で看護師歴31年、災害レスキューナースとしては27年活躍し、被災地派遣は国内29件、海外2件。被災地での過酷な経験をもとに、“本当に使えた”防災の「自衛術」を多くの人に知ってほしいと、大学や小中学校で教えるだけでなく、一般向けの講座も行っている。近著に『レスキューナースが教えるプチプラ防災』(扶桑社)が好評発売中。
この記事のまとめ
風水害への備え
○ハザードマップ・避難場所・家族の連絡方法などの確認
○飛散防止フィルムを貼って窓ガラスを補強
○物干し竿など屋外のものは、できるだけ室内に移動
在宅避難ができる3つの条件
〇自宅に大きな損壊がない
〇自宅周辺に火事や液状化などの二次災害がない
〇余震が続くなどの心理的な不安がない
災害大国日本に、
「総合免災住宅」を。
襲いくる脅威にただ耐えるだけでなく、その後も“災害を免れたかのように暮らせる”こと。「免災」には、そんな想いが込められています。自然の驚異からご家族を「守る」ために。その上で、平穏な日常が「続く」ように。鍛え上げたトップレベルの性能を集結させて、一条工務店がこれまでにない住まいを実現しました。
『iikoto』は、豊かに、健やかに、楽しく暮らすためのヒントが詰まった、一条のライフスタイルマガジンです。無料でプレゼントいたしますので、バックナンバーページからぜひご請求ください。
※本記事は『iikoto』(2020年9月号)の特集をもとに編集しています。
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